社内研修費用を徹底解説!費用を抑えるコツや予算管理の方法も紹介

社内研修は、社員のスキル向上や企業文化の共有を図る重要な取り組みです。
しかし、研修の費用については、企業規模や業種によって大きな差があります。

この記事では、最新の調査データをもとに、企業規模や業種別の研修費用の実態を解説します。
さらに、なぜこのような差が生まれるのか、その背景にも触れながらご紹介します。

目次

企業規模や業種別社内研修の平均費用

社内研修の費用は、企業規模や業種によって大きく異なります。
研修費用の水準や傾向を知ることで、自社の予算管理や効果的な研修計画の参考になります。

ここでは、企業規模や業種別の研修費用の平均値や傾向を解説します。

2023年度の従業員1人あたりの研修費用は34,606円

2023年度の企業の研修費用は、従業員1人あたり34,606円という結果が出ています。
この数字は前年と比べるとわずかに増加しており、研修費用が減少したコロナ禍の前の水準に近づいてきています。
また、今後研修費を増額する予定と答えた企業が調査対象企業の6割になるという調査結果から、社会全体の変化や人材育成の重要性がますます高まっているということが考えられます。

企業規模別の研修費用

  • 大企業:41,050円
  • 中堅企業:32,268円
  • 中小企業:31,087円
  • 企業規模が大きくなるほど研修費用も高くなる傾向

    (出典:株式会社産労総合研究所「2024年度教育研修費用の実態調査」)

企業規模別に見ると、大企業の平均研修費用は41,050円で、中堅企業や中小企業より高くなっています。
これは、大企業ほど人材育成に多くの投資を行っているためです。

さらに、組織が大きくなると多様な業務への対応や専門的なスキルが必要となるため、研修費用も高くなりがちです。

業種別の研修費用

2021年度の製造業の平均研修費用は27,886円で、非製造業の31,155円より低くなっています。
これは、製造業では現場でのOJT(On-the-Job Training)が重視され、外部研修の依存度が低いからです。

一方、非製造業では顧客対応力やサービス品質の向上を目指す研修が多いため、外部講師を活用する機会が多く、結果として研修費用が高くなる傾向にあります。
また、IT業界のように技術革新が速い業種では、社員の継続的なスキルアップが求められ、研修への投資額が増加する傾向があります。

このように、企業規模や業種によって研修費用には大きな差があります。

研修費用の具体的な内訳と各項目の相場一覧表

研修を実施する際には、さまざまな費用が発生します。

ここでは、講師料や教材費、会場費、交通費、オンラインツール利用料など、主な費用項目の内容と相場の目安を表にまとめました。

費用項目概要相場の目安
講師料研修講師に支払う謝金。専門性や登壇時間によって変動します。5万円〜20万円(1回あたり)
教材費研修テキストや資料の印刷・制作費。1,000円〜3,000円(1人あたり)
会場費社外研修会場のレンタル費用。会議室やホールなど。1万円〜10万円(1回あたり)
交通費講師や参加者の移動にかかる交通費。実費(地域や距離により変動)
備品・機材プロジェクターやマイクなど、研修で使用する機材のレンタルや購入費。数千円〜数万円(内容による)
食事・飲み物昼食・軽食・ドリンクなどの提供費用。1,000円〜3,000円(1人あたり)
オンラインツール利用料Web会議ツールや学習管理システム(LMS)などの使用料。数千円〜数万円(月額・回数などによる)

研修形式による費用の違いはある?

社内研修の費用は、実施形式によって大きく異なります。
ここでは、集合研修(対面型)、オンライン研修、eラーニング、ハイブリッド型研修の特徴とともに、それぞれの相場やコストの内訳をわかりやすく解説します。

集合研修(対面型)のコスト

  • 外部講師への謝金
  • 貸会議室などの会場費
  • 参加者・講師の移動費や場合によっては宿泊費
  • 人数やプログラム内容によりコスト幅が大きい

集合研修は、講師料や会場費、さらに移動・宿泊費など、さまざまな実費が発生しやすい形式です。

目安としては、1回あたり10万円〜50万円以上かかることが多いです。
特に、受講人数が多くなるほど会場の規模も大きくなり、費用も増加する傾向にあります。

オンライン研修の導入コスト

  • オンライン会議ツール利用料(ZoomやTeamsなど)
  • 講師料(オンライン登壇の場合も発生)
  • 受講者人数に応じたツールの契約形態(従量課金・月額制など)

オンライン研修は、会場費や移動費がかからない分、費用を抑えやすいメリットがあります。

ただし、使用するツールや講師料、人数によってコストが変動します。

おおよその相場としては、1回数万円〜20万円程度の幅があります。
特に、専門講師や外部プログラムを活用する場合は、オンラインでも高額になる場合があります。

eラーニングの費用体系

  • 既製コンテンツ利用型 受講者1人あたり月500円〜2,000円程度
  • オリジナル制作型 初期制作費30万円〜100万円以上+月額管理費


eラーニングには、既に用意されたコンテンツを利用する方法と、自社専用に新たにコンテンツを制作する方法があります。

既製コンテンツ利用型では、1人あたり月500円〜2,000円程度で始められます。

一方、オリジナルコンテンツ制作型では、制作費として30万円〜100万円以上かかるケースが多く、さらにLMS(学習管理システム)などの月額利用料も必要です。

研修プログラムによる費用の違い

社内研修は、目的や受講対象者によって研修プログラムが異なります。
当然ながら、プログラムごとに必要な準備や講師の専門性、研修時間が変わるため、費用も異なります。

ここでは、主な研修プログラムごとの費用相場を表にまとめてご紹介します。

研修プログラム概要費用相場
新入社員研修社会人マナーや基礎スキルの習得を目的としたプログラム。1回10万円〜50万円程度(内容・人数による)
管理職研修リーダーシップやマネジメント力向上のための研修。1回20万円〜60万円程度(ケーススタディや演習の有無で変動)
コンプライアンス研修法令遵守や企業倫理について学ぶ研修。eラーニング利用が多い。1回5万円〜20万円程度(eラーニング型はさらに安価)
営業スキル研修営業手法や顧客対応力を高める研修。1回15万円〜50万円程度(外部講師利用時は高額化しやすい)

このように、研修プログラムの内容や目的によって、必要な準備や外部講師の活用度が異なり、費用にも差が出てきます。

自社の目的に合わせて、効果的なプログラムを選ぶことが大切です。

社内研修と社外研修に費用の大きな違いはある?

研修を実施する際、社内研修か社外研修かによって、発生する費用や準備内容が大きく変わります。
ここでは、両者の特徴やコストの目安を整理し、比較します。

社内研修

  • 自社内の会議室や施設を活用することで、会場費を抑えられる
  • 社内講師を起用する場合は講師料不要、外部講師の場合は別途講師料が発生
  • 交通費・宿泊費が発生しにくい

社内研修は、自社内の会議室などを使用するため、会場費や交通費がかかりにくいというメリットがあります。社内講師を活用すれば、追加の講師料が不要になることも特徴です。ただし、外部講師を招く場合には、講師料として5万円〜20万円程度の費用がかかることが一般的です。

社外研修

  • 研修会社や外部教育機関が提供する公開型研修(オープンセミナー)に社員を派遣
  • 受講者1人あたりの費用が設定されている
  • 会場費や運営費は研修費用に含まれることが多い

社外研修は、研修会社や外部教育機関が用意したプログラムに社員を参加させる形式です。

会場費や運営費は主催者側が用意するため、費用は受講者1人あたり3万円〜10万円程度が一般的な目安です。
大人数で参加する場合は、その分合計費用が大きくなります。

社内研修と社外研修の比較

研修形式特徴費用目安
社内研修社内の会議室等を活用。社内講師の場合、講師料不要。外部講師を呼ぶ場合は別途講師料が発生。0円〜20万円程度/回
社外研修外部研修会社のプログラムに参加。会場費などは含まれるが、1人あたりの費用が設定される。3万円〜10万円程度/1人

このように、社内研修は会場や交通費を抑えられる一方で、講師料が発生することもあります。
社外研修は1人あたりの費用が明確で、内容や講師の質が担保されやすい特徴があります。

それぞれの形式のメリット・デメリットを比較し、自社の目的に合わせた研修計画を立てることが重要です。

研修費用を抑えるための具体的な方法

研修の実施には一定の費用がかかりますが、工夫次第でコストを抑えながら効果的な研修を行うことができます。

ここでは、社内講師の育成や助成金活用など、研修費用を抑えるための具体的な方法を解説します。

社内講師の育成と内製化

  • 社内人材(ベテラン社員・管理職など)を研修講師として育成することで、外部講師料を削減可能
  • 内製化は一度整備すれば、継続的に同じ研修を繰り返し活用できる
  • 対象者のローテーションや業務調整など、実務と両立できる仕組み化が重要

社内講師を活用すれば、毎回発生する外部講師料を大幅にカットできます。
さらに、研修内容を自社に最適化できるメリットもあります。

内製化の仕組みを整えれば、長期的に高い費用対効果が期待できます。

助成金・補助金の活用

  • 代表的な制度「人材開発支援助成金(厚生労働省)」
  • 中小企業なら実質50〜75%の補助が可能
  • 研修内容や受講者の雇用形態によって対象範囲が異なる
  • 申請には計画書・実施報告・受講記録などが必要
  • 必ず支給されるわけではないため注意が必要

厚生労働省が実施する「人材開発支援助成金」は、研修費用の一部を国が負担してくれる公的制度です。
中小企業の場合、費用の半分以上を助成してもらえるケースもあります。

研修前に条件を確認し、しっかり計画を立てて申請を行うことが重要です。

オンラインツールの活用

  • Zoom、Teams、Google Meetなどの無料・低コストWeb会議ツールを利用
  • 対面開催に比べ、会場費・交通費・宿泊費を大幅カット
  • LMSを活用すれば、受講履歴管理や復習コンテンツの提供も効率化
  • アーカイブ化で継続利用コストも削減可能

オンラインツールを活用すれば、研修の会場費や交通費をほぼゼロにできます。
さらに、LMS(学習管理システム)を組み合わせると、受講履歴の管理や自動評価なども効率化でき、運営コストを抑えられます。

導入時には、社内のITリテラシーや通信環境の整備が必要です。

研修内容の見直しと優先順位の設定

  • 「漫然と毎年同じ研修を実施していないか」見直す
  • 成果が出ていない・目的不明確な研修は廃止や縮小を検討
  • 「目的」「必要層」「頻度」「形式」の4要素で仕分け
  • 必要な層に段階的に実施することで、年単位で投資を分散可能

すべての研修を毎年実施する必要はありません。

内容を見直し、本当に必要な研修にだけ予算を集中させることが大切です。
例えば、全社員向けの高額研修を階層別に分け、段階的に実施することで、研修投資の負担を分散することができます。

複数の研修会社からの見積もりを取り比較する

  • 同じテーマ・日程でも研修会社により価格差があるため相見積もりは必須
  • 講師の実績や専門性の違いも確認
  • 教材の質(汎用的かカスタマイズか)やアフターフォローも重要
  • 見積書だけでなく、サンプル資料や事例、効果測定体制なども確認

研修費用を抑えるためには、必ず複数の研修会社から見積もりを取りましょう。

価格だけでなく、講師の専門性や教材の質、研修後のフォロー体制まで総合的に比較することが大切です。

研修費用の予算策定と管理のポイント

研修の予算策定は、単なる「お金の計算」ではありません。
研修を通じて組織の成長を支える投資でもあるからです。

ここでは、前年度実績とゼロベース予算の使い分け、研修効果の測定方法、そして人的資本経営における研修費用の位置づけまで、予算策定・管理のポイントを解説します。

前年度実績とゼロベース予算の使い分け

  • 前年度実績ベース予算:前年の金額を基準に微調整する方法。一般的かつ保守的。
  • ゼロベース予算:全施策を白紙から再評価し、効果・必要性を見て積み上げる手法。
  • 恒常的に行う研修は前年度実績ベース、新規研修はゼロベース予算で効果重視に見直す。
  • 「コスト削減」だけでなく「費用対効果を高める」視点が重要。

恒常的に行う研修は、前年実績を基準にすれば予算計画が立てやすくなります。
ただし、新規研修や大幅な見直しが必要な研修では、ゼロベース予算で「何が本当に必要か」を再評価することが重要です。

両者を使い分けることで、無駄を省きながら効果を最大化できます。

研修効果の測定と費用対効果の分析

  • 「満足度アンケートだけでは不十分」と認識する
  • Kirkpatrickモデルなど多角的な視点で効果を測定
  • 学んだ知識の現場実践度や、業務成果への影響まで可視化する

研修効果を測るときに「受講者の満足度アンケート」だけでは本質的な効果は見えません。
Kirkpatrickモデルなどを活用して、学習の達成度や行動変容、業務成果まで分析することが大切です。

こうした分析結果は、次回の研修改善や予算配分の見直しにも役立ちます。

人的資本経営における研修投資の位置づけ

  • 「研修費は単なるコストではなく、未来の競争力を高める投資」
  • 研修の効果を数値化するだけでなく、企業の中長期戦略との関連を重視する
  • 「社員のスキルは経営資源である」という認識を持ち、経営課題の解決に資する研修を設計する

研修費用を「単なる出費」と捉えるのではなく、人的資本経営の一環として「未来の競争力への投資」と位置づけることが重要です。
研修が社員のスキル向上だけでなく、企業の戦略目標と連動するかを意識しましょう。

これにより、研修が経営課題の解決に直結する手段として位置づけられます。

研修費用は自己負担させても問題ない?

研修を行う際、「研修費を従業員に自己負担させてもよいのか?」という疑問を持つことがあります。
労働法の原則や実務上の留意点を理解して、適正な運用をすることが重要です。

ここでは、研修費用負担に関する原則と、自己負担にする場合の注意点を解説します。

研修費用は会社負担が原則

  • 労働契約の原則として、業務に必要なスキル取得の研修は会社負担が基本
  • 会社が指定した研修、労働時間中に実施される研修などは明確に会社負担

従業員に義務として受講を命じる研修は、原則として会社が全額負担すべきです。
特に、業務に必要なスキル習得や、会社が指定した研修は、労働契約の一環として扱われるため、会社負担が当然とされています。

従業員に自己負担させる場合の法的留意点

  • 研修が従業員の自由意志で参加する場合は、自己負担の可能性がある
  • 会社が強制・指示する場合は、自己負担にすることは原則として認められない
  • 負担割合や負担の必要性など、慎重な運用が必要

自己負担を求める場合は、必ず「任意性」が重要になります。

たとえば、従業員が自主的にスキルアップのために研修に参加するケースなどです。
会社が研修を命じる場合は、自己負担を求めるのは法律上問題になることがありますので、十分な注意が必要です。

就業規則への明記と同意書の重要性

  • 自己負担が発生する場合は、就業規則や雇用契約書に明記することが必須
  • 従業員の同意書を取るなど、トラブル防止の対策が重要

自己負担を従業員に求める場合、必ず就業規則や雇用契約書に記載し、明確化しておく必要があります。
また、実際に自己負担が発生する場合は、従業員からの書面による同意を得ることで、後々のトラブルを防ぐことが重要です。

このように、研修費用の負担については「業務上必要かどうか」が重要なポイントです。

適正なルールを整備して、安心して研修を実施できる体制をつくることが求められます。

研修費用の削減は研修効果に影響する?

コストを抑えることは企業経営にとって重要なテーマですが、研修費用の削減が必ずしもプラスに働くわけではありません。
ここでは、研修費用の削減が研修効果にどう影響するのかを解説し、費用対効果のバランスの考え方を紹介します。

研修費用を削減すると、講師の質や研修内容の充実度、実践機会の確保などに影響が出ることがあります。
結果として、受講者の学習意欲や現場への定着度が下がり、研修全体の効果が低下してしまうことも考えられます。

一方で、研修費用をかけ過ぎればよいというものでもありません。

研修の目的やターゲット層を明確にし、本当に必要な内容に絞り込むことで、費用を適正化しながら効果を最大化することが重要です。

研修は「受けさせればよい」というものではなく、最終的には「現場でどのように活かされるか」が問われます。

必要な投資を惜しまず、かつ無駄なコストは抑える。
このバランスを見極めながら、研修設計・運用を行うことが、成果を生む研修運営のカギです。

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