社員が受けたい研修を設計するポイント!アンケート活用でニーズを把握する方法とは?

「どんな研修を受けたいですか?」と社員に聞く機会はありますか?

研修は、社員の学びたい内容に合っていないと、どんなに立派なプログラムでも成果につながりにくいものです。

この記事では、アンケートを活用して受講者となる社員のニーズを把握し、学びの意欲を引き出す研修設計のポイントを解説します。

目次

効果を高める研修は「受講者ニーズに合った研修」である

社員のニーズに合った研修は、効果が高まりやすいと言われています。

なぜなら、人は自分にとって必要だと感じる内容にこそ意欲的に取り組むからです。
これは米国の教育学者マルコム・ノールズが提唱した成人学習理論でも指摘されています。

成人学習理論では、学ぶ本人が「何を学びたいか」を自分で決めることが、学習成果に直結するとされています。

業務の即時的な課題解決に役立つ学びや、自分の成長につながる学びであれば、社員は主体的に参加しやすくなります。
逆に、業務に直結しない内容や、自分に関係のないと感じる研修では、どうしてもモチベーションが下がってしまいます。

つまり、研修の効果を高めるには「社員が本当に必要だと思うテーマ」で設計することが欠かせません。
受講者自身の関心や現場での課題にマッチした内容にすることで、学びを行動に移す力が高まります。

研修設計にアンケートを活用したほうが良い理由

社員の「受けたい!」と思う研修を実現するには、事前のアンケートがとても重要です。
アンケートは、研修の方向性を決めるだけでなく、社員のモチベーションや組織の課題解決にも役立ちます。
さらに、現場の実情を反映する機会ともなり、経営層が知らなかった現場の悩みを可視化する手段にもなります。

ここでは、アンケートを活用する具体的なメリットを紹介します。

ニーズを反映し学習効果を高める

  • 受講者が本当に学びたい内容を反映できる
  • 「受けたい研修がある」という期待感で参加意欲が高まる
  • 研修内容が実務に直結しやすくなる

アンケートを使って受講者のニーズを研修内容に反映させることで、受講者は「自分に必要な研修だ」と感じることができます。

これは、単に満足度を高めるだけではなく、実際の現場で活かせるスキル習得につながる大きなポイントです。

結果として、参加意欲が高まり、研修効果も高まります。
受講者が「自分に合っている」と感じる研修は、学びを行動に変える原動力にもなります。

テーマと受講者意識のギャップを埋める

  • 研修を設計する側と現場側の意識のずれを発見できる
  • 受講者のレベルや現場課題に合った内容を設計できる
  • 現場課題に基づく柔軟なプログラムの調整が可能になる

アンケートを通じて、研修を企画する側が「現場の考え」を理解することができます。

経営層や人事部門が設計した内容だけでは見えなかった現場課題を知ることで、ギャップを埋める研修が可能になります。
これにより、より実践的で役立つ研修が実現。

こうした双方向の調整は、組織文化の改善にもつながるため、長期的なメリットも大きいです。

事前アンケートが社員の意識調査にも使える

  • 現場の声を吸い上げる手段として機能する
  • 社員の不安やスキル習得の希望を把握できる
  • 組織課題を把握する手段としても活用可能

研修前に行うアンケートは、単に研修テーマを決めるだけでなく、社員が日頃感じている課題や不安を把握する機会にもなります。
さらに、社内のコミュニケーション不足による課題や、新たに生まれた現場の問題を拾い上げることも可能です。

結果として、社員の意識調査の役割も果たし、組織全体の課題解決への第一歩を踏み出せます。

研修効果が高まり組織の成長に

  • 受講者の参加意欲が高まりやすい
  • 結果として、学んだ内容が現場で活かされる
  • 社員のスキル向上が、組織全体の成長に結びつく
  • 組織の信頼関係やエンゲージメント向上にもつながる

受講者のニーズを取り入れた研修は、学びの成果が現場で発揮されやすくなります。

受講者が自ら必要と感じているからこそ、習得した知識やスキルを積極的に業務に活かそうとする意欲が生まれます。社員が成長することで、組織としての競争力も高まるはずです。
さらに、こうした研修をきっかけに社員同士の信頼感が高まり、組織全体の成長やエンゲージメント向上にもつながります。

研修設計でありがちなよくある失敗

せっかく時間とコストをかけて研修を実施しても、設計段階での見落としや誤りがあると、成果が出ないばかりか逆効果になることもあります。

ここでは、研修設計でありがちな失敗例を挙げ、それぞれがどんな問題を引き起こすかを詳しく解説します。

課題を把握せずに内容を決める

  • 実際の業務課題と研修内容がズレている例として「座学だけの理論研修」など
  • 業務に直結しない内容では、受講者が研修を実践に結びつけにくい

研修内容を決める際に「現場の課題は何か」をしっかり把握しないまま進めると、受講者が学びたい内容と現場で本当に必要なスキルがずれてしまいます。
例えば、現場では実践的な営業スキルが必要なのに、理論的な座学中心の研修を実施してしまうと、受講者は「これでは現場に役立たない」と感じ、結果的にモチベーションも研修効果も下がってしまいます。

階層や役割に応じた研修ではない

  • 「全員同じ内容で研修をする」ことでの失敗例
  • マネジメント層と若手社員で求められるスキルが違うのに、同じ内容では効果が薄い

受講者の階層や役割に応じた研修を行わないと、研修の内容が受講者に合わず、成長や成果には結びつきません。

例えば、新人向けの研修内容を管理職にそのまま行っても、現場での意思決定力やマネジメント力の向上にはなりません。
逆に、管理職研修を若手社員に行っても、現実的な課題に直結しないため「学びにならなかった」と感じさせてしまいます。

研修の目的やゴールが不明確なまま

  • 研修の目的が曖昧な場合、受講者が「なぜこの研修を受けるのか」わからない
  • 集中力が続かない、終了後の行動変容が起きにくい

研修の目的やゴールが不明確だと、受講者は「結局何のために学ぶのか?」と疑問を持ち、集中できません。

例えば、研修開始前に「今回のゴールは、営業で成果を出すための具体的な行動を見つけることです」といった明確な目的を示さないと、学びが行動に結びつかず、研修が単なるイベントになってしまいます。

ただやっただけの研修になる

  • 研修の目的が「やること」自体になってしまっている例
  • スキル向上や行動変容がないまま、ただ「こなすだけ」の研修になる

「研修を実施すること」自体が目的化してしまうと、内容に具体性や改善意識がなくなります。

たとえば、毎年同じ内容の研修を繰り返すだけでは、受講者は「またこの内容か…」と感じ、研修自体に意義を感じにくくなります。

結果として、現場で活かされる学びも生まれず、時間と費用を浪費することになります。

結果、研修が効果が薄い

  • 研修設計での失敗が積み重なると、最終的に研修全体の成果が出にくい
  • 「この研修は意味があるのか?」という疑念を持たれる

こうした失敗が重なると、せっかく時間や費用をかけても「この研修は意味があるのか?」という疑念が社内に広がります。

研修の効果が感じられなくなれば、将来的な研修投資にも消極的になるリスクがあります。
研修設計の初期段階で、研修の本質をイメージすることが、結果的に組織全体の成長や学びの文化の定着につながります。

「どんな研修を受けたいか」を聞くためのアンケート設計ポイント

効果的な研修を実現するには、社員の声を正確に拾うアンケート設計が欠かせません。
研修を実施する前に、どんな内容を求めているかを把握することは、成果に直結します。

ここでは、アンケートを作る際に意識すべきポイントを整理して解説します。

研修の目的・対象者を洗い出しておく

  • アンケート配布前に「誰に、何のために実施するか」を明確にする
  • 例:対象者は中堅社員か管理職か、新入社員か
  • 例:目的は定着支援か、マネジメント強化か、DX推進か
  • 例:アンケートのゴールは「適切な研修テーマ選びの材料にする」など

アンケートを作る前に「何のために実施するか」「誰に配るか」を整理しておくことが大切です。

例えば、管理職向けに行うのに新人向けの内容を聞くような設問では、的外れな結果になりかねません。
文脈を理解しないままアンケートを配布すると、回答の質が低く、研修設計がうまく進まなくなります。

こうした事前の整理が、的確なアンケート作成のカギになります。

受講者ニーズを把握する設問をいれる

  • 今の課題例:「今の業務で困っていることは何ですか?」
  • 将来の成長例:「今後身につけたいスキルや知識は何ですか?」
  • 過去の経験例:「これまでの研修で役立ったものは何でしたか?」

研修アンケートでは、単なる「研修希望の有無」だけでなく、具体的なニーズや課題を引き出す設問が有効です。

例えば、上記のように「今の課題」「将来の成長」「過去の経験」の3つの軸に分けて設問を入れると、社員の本音を引き出しやすくなります。
さらに「研修を受けた後にどんな行動につなげたいか」など、行動目標を意識した設問があると、研修設計により活かせる結果が得られます。

答えやすい選択式を活用する

  • 選択式を中心にすると、5〜10分程度で回答が完了
  • 負担を減らし、回答率を上げることができる

アンケートでは、受講者が気軽に答えられるように選択式を中心にするのがおすすめです。

特に、研修の忙しい合間に回答することが多いため、短時間で済む形式が喜ばれます。
選択肢を用意しながらも、自由記述欄と合わせて使うと、ニーズ把握のバランスが取れます。

自由記述欄も用意する

  • 選択式だけでは拾えない「本音」や「現場のニュアンス」を補える
  • 現場感覚を反映した研修テーマのヒントにもなる

選択式のアンケートでは、受講者の本当の悩みや現場感が見えにくいことがあります。

そこで、自由記述欄を用意することで、社員が言葉を選んで「こういうことを学びたい」と書いてくれます。
自由記述の回答は、集計に手間はかかりますが、実際の現場の温度感を知るための貴重な手がかりになります。

オンラインツールなどの活用で回答率を上げる

  • Google FormsやMicrosoft Formsなど、手軽なオンラインツールを活用する
  • 「何のためのアンケートか」を最初にしっかり伝えると回答精度が上がる

オンラインツールを使えば、社員がスマホやパソコンから簡単に回答できます。

特に、GoogleフォームやMicrosoft Formsは無料で使え、集計もスムーズです。
ただし、アンケートを依頼する際は「このアンケートは社員研修の質を高めるためです」といった目的をしっかり伝えることが大切です。

目的が明確になると、回答者の意識も高まり、より有意義な回答を集めることができます。

研修ニーズを引き出すアンケート設問例テンプレート

ここでは、研修ニーズを正確に引き出すためのアンケート設問テンプレートをまとめました。
各項目につき3つ以上の例を挙げています。

アンケート作成時の参考にしてみてください。

受講したい研修テーマ

受講者が本当に受けたい研修テーマを把握するために使える設問は以下のようなものがあります。

  • 「どのようなテーマの研修を受けたいと考えていますか?」
  • 「次のうち、興味がある研修テーマをすべて選んでください」
  • 「今後、仕事に活かしたいと思う分野の研修はありますか?」
  • 「これまでに参加して良かった研修テーマや、再度受けたいテーマがあれば教えてください」

現在の業務で感じている課題や不安

社員が感じている業務に対する課題や不安を引き出す設問は以下が挙げられます。

  • 「現在の仕事で特に困っていることや課題があれば教えてください」
  • 「どのような場面で『もっと知識が必要だ』と感じることがありますか?」
  • 「業務に関して不安に思っていることや改善したいことはありますか?」
  • 「日々の業務で感じる難しさや、もう少し深めたい部分はどこですか?」

希望する研修形式

研修形式も、受講者によって希望形式が異なる場合が多いです。
下記のような質問で、希望する研修形式を引き出します。

  • 「どのような形式の研修を受けたいですか?(集合研修・オンライン・ハイブリッドなど)」
  • 「グループワークやディスカッションを含む研修を希望しますか?」
  • 「実践型の演習やケーススタディ中心の研修を希望しますか?」
  • 「オンライン研修を希望される場合、配信ツールの使い方に不安はありますか?」

受講希望の長さや回数に関する質問

研修の長さや回数は、集中力の持続や知識の定着につながる部分です。
受講者が大体どのくらいの研修時間が丁度よいのか、知識の定着にどのくらいの回数を必要としているのか、という点は下記の質問で引き出すことができます。

  • 「1回の研修時間として、どのくらいが理想ですか?」
  • 「研修の回数は、単発型と継続型どちらを希望しますか?」
  • 「週1回・月1回など、どのくらいの頻度で研修を受けたいですか?」
  • 「短時間集中型・長時間じっくり型、どちらが自分に合っていると思いますか?」

スキルアップしたい内容

従業員が身に着けたいスキルを引き出すには、下記のような質問が有効です。

  • 「どのようなスキルを強化・習得したいですか?」
  • 「今後のキャリアで活かしたいスキルや知識は何ですか?」
  • 「これまでに苦手だと感じているスキルや克服したいことはありますか?」
  • 「具体的な仕事の場面で必要だと感じているスキルを教えてください」

これらの質問例をもとに、自社に合わせてカスタマイズすると、より実践的で有効なアンケートになります。

ぜひ、参考にしてください。

アンケート結果の集計・分析・活用のコツ

アンケートを実施した後は、結果をどう活かすかが最も重要です。
ただ数字をまとめるだけでなく、分析や実務への活かし方を工夫することで、研修設計の質が一段と高まります。

ここでは、アンケート結果の集計・分析・活用のポイントを詳しく解説します。

「学びたいこと」と「困っていること」を分ける

  • 「学びたいこと」と「困っていること」は似ているようで意味が違う
  • 一緒に集計すると、本来のニーズを取り違えるリスクがある
  • それぞれを明確に分けることで、適切な研修設計が可能になる

アンケートでは「学びたいこと」と「困っていること」が一緒に扱われがちですが、この2軸は厳密には異なります。

例えば、「営業力を高めたい」と「商談で緊張するのを克服したい」という回答は、学びたいことと困っていることに分かれます。
これを混同すると、ニーズの誤認や、必要な研修が見えなくなる恐れがあります。

分けて集計することで、研修設計に直結する正確なニーズをつかめます。

階層・部署・業務内容ごとに集計

  • 全体の平均だけではなく、階層や部門などで分けた「セグメント別分析」が必須
  • クロス集計例「営業職×中堅社員」で提案力研修のニーズが高いなど
  • 役割に応じた課題や期待値の違いを明確化できる

アンケート結果を分析する際は、全体の平均値だけを見るのでは不十分です。

役職や部署、業務内容ごとに集計すると、より深い気づきが得られます。
例えば、「営業職×中堅社員」のセグメントでは提案力研修のニーズが強く、「管理職×人事部門」ではマネジメント研修の希望が多いといった具体的な違いが見えてきます。

こうしたクロス集計は、実務で直結する研修設計に大いに役立ちます。

自由記述にあるキーワードに着目する

  • 自由記述欄には、選択式では見えない「本音」や現場感が表れる
  • キーワード抽出やテキスト分析を行うと、組織特有の課題が見える
  • 社員の言葉を直接反映できる貴重な情報源

自由記述欄は、社員の本音や現場の「肌感覚」を把握できる宝の山です。

数値化されたデータだけでは見えない、ニュアンスや課題の奥行きを知ることができます。
例えば、「現場での声が上がりにくい」などの隠れた課題が出てくることもあります。

こうした情報は、研修設計に「現場目線」を取り入れるうえで重要なヒントになります。

結果内容と実務との関連性を確認する

  • 集計結果をそのまま使うのではなく、実務との関連を必ず検証する
  • 現場ヒアリングや上司インタビューと照らし合わせると精度が上がる
  • 「学んだ内容をどう現場で活かすか」を見据えることが大切

アンケート結果をもとに研修テーマを決める際は、それが「現場の業務に本当に役立つか」を必ず確認しましょう。

現場ヒアリングや上司インタビューを合わせて行うと、数字だけでは見えない実情や優先順位が見えてきます。
学びを現場に活かす視点を持つことで、単なる自己満足に終わらない、本当に意味のある研修を作れます。

アンケートは実施するタイミングが重要

アンケートは、研修を成功させるための重要な手段ですが、その実施タイミングによって得られる情報の質や意味合いが大きく変わります。

適切なタイミングを見極めることで、研修の設計やフォローアップの精度が飛躍的に高まります。

まず、研修企画時にアンケートを行えば、受講者のニーズを把握しやすくなります。

これにより、社員の「学びたい」という意欲を引き出す内容に調整しやすくなるでしょう。
また、研修直後のアンケートでは、研修内容の理解度や満足度、改善点を把握することができます。
さらに、フォローアップ時に実施すれば、研修で得たスキルや知識が現場で活かされているかどうかを確認できます。

他にも、1年に数回行う社員意識調査と関連づけることで、社員のモチベーションやエンゲージメントとの関係を可視化できます。

人事面談など人事制度と組み合わせることで、キャリア開発や人材育成の戦略的プログラムとの結びつきを明確にすることも可能です。
これにより、研修が「単なるイベント」ではなく、組織戦略の一環として活用されるようになります。

このように、アンケートは「いつ、何の目的で実施するか」によって得られる価値が変わります。

研修のライフサイクルに合わせて適切なタイミングで実施し、現場の声を最大限に活かす仕組みを整えることが大切です。

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