社員研修を外注する際に押さえるべきポイントを解説!外注の効果や落とし穴も

社員研修は、企業の成長に欠かせない重要な取り組みです。
しかし、自社だけで研修をすべて行うのは難しく、外部の専門家やサービスを活用する「外注」も一般的になっています。
一方で、外注には費用や効果の面で注意が必要です。
この記事では、社員研修を外注する際のポイントや注意点を解説し、より効果的に活用するための方法をご紹介します。
社員研修は外注と内製のハイブリッド化で効果を高める
社員研修は「すべて外注」あるいは「完全に内製」という極端な方法ではなく、それぞれの強みを生かす「ハイブリッド型」で実施するのが効果的です。
外注だけに頼るとコストが高くなりすぎる可能性があり、内製だけでは専門性に欠けることもあります。
両者のバランスをとることで、コストを抑えながらも質の高い研修を実現できます。
研修の各フェーズ(設計・実施・フォロー)ごとに、外注と内製を使い分けるのがポイントです。
以下に具体的なパターンをご紹介します。
- 基礎研修 自社で内製
- 応用研修 専門性の高い外部講師を活用
- 研修後のフォロー 社内で日常的に実施
例えば、新入社員向けの基本的なマナーや制度説明などは社内で十分対応可能です。
一方で、マネジメントスキルやマーケティングなどの専門分野は、外部のプロフェッショナルに依頼する方が効果的です。
さらに、研修後の定着支援やフィードバックなどは、普段の上司や同僚が行うことで、学びを業務に結びつけやすくなります。
このようにハイブリッド型にすることで、外注の効果を取り入れつつ、社内に研修のノウハウを蓄積することができます。
結果として、長期的にはコスト削減にもつながり、継続的な人材育成体制の構築が可能になります。
社員研修を外注すべきケースやタイミング
社員研修は、常に内製で対応できるとは限りません。
企業の成長や組織体制の変化に応じて、外部の研修サービスを活用すべきタイミングがあります。
ここでは、研修を外注するべき典型的なケースを3つ紹介します。
- 社員数増加など社内リソースが不足している
- 社内研修の効果が上がらない
- 専門的な内容の研修が必要
社員数増加など社内リソースが不足
創業初期や少人数のフェーズでは、人事担当者や現場のリーダーが研修を兼務し、社内で対応できることも多いでしょう。
しかし、社員数が増加すると、一人ひとりに対するフォローが難しくなり、既存の研修体制では対応が追いつかなくなります。
また、見えにくい負荷が積み重なる点にも注意が必要です。
たとえば、受講者の管理や日程調整といった事務作業、研修資料の作成、効果測定の設計などは想像以上に工数を要します。
こうした負荷が研修担当者の通常業務を圧迫し、結果として研修の質や効果に影響を及ぼすこともあります。
社内研修の効果が上がらない
「研修は行っているけれど、現場でのパフォーマンスが思ったほど改善しない」といった悩みは、多くの企業で見られます。
このような場合、単に研修内容だけでなく、そもそも“研修の効果測定ができていない”こと自体が課題である可能性があります。
外部の研修サービスでは、研修前後の評価指標を設けたり、受講者の満足度だけでなく行動変容までを追跡したりと、体系的な効果測定が行われるケースが多くあります。
こうした仕組みを導入することで、研修が「やりっぱなし」にならず、実務への活用度も高まります。
専門的な内容の研修が必要
DX・情報セキュリティ・マーケティング・新規事業開発といった分野は、高度な専門知識と最新の実務動向を理解している講師が必要です。
これらの内容を、通常業務の延長で社内担当者が教えるのは難しいことが多いです。
専門性の高い講座ほど、外部の講師を招くことで「社内の常識」や「業界内の偏った視点」を一度リセットし、より客観的かつ業界横断的な知見を得ることができます。
このような視野の広がりは、受講者にとって大きな学びとなり、組織の変革力にもつながります。
社員研修を外注することで得られる効果
社員研修を外注することには、多くのメリットがあります。
単に手間が減るだけでなく、研修の質や成果を大きく向上させることができるのです。
ここでは、外注によって得られる代表的な効果を紹介します。
- 講師による専門的なスキル習得が可能
- アップデートされた最新情報で研修できる
- 研修から効果測定まで一貫した対応が可能
- 人事担当者の業務負担軽減につながる
講師による専門的なスキル習得が可能
外注の最大の強みは、「専門分野に精通した講師による実践的な指導が受けられる」ことです。
社内に蓄積されていない最新スキルや知識を、外部の専門家から直接学ぶことができるため、研修の効果が高まります。
特にITスキル・デジタルリテラシー・コンプライアンス・管理職研修などは、社内の人材だけで対応するのが難しいテーマです。
外部講師による体系的な指導によって、より深い理解と実践力の獲得が期待できます。
アップデートされた最新情報で研修できる
外部の研修サービスでは、業界動向や法令改正に即した最新の情報が取り入れられています。
たとえば、インボイス制度への対応研修や、AI・DXに関する最新動向を反映したプログラムなど、社内だけではキャッチアップが難しい内容にも柔軟に対応できます。
とくにIT分野・法令関連・ビジネスマナー・ハラスメント対応など、社会的変化が激しい領域では、社内の知識やノウハウがすぐに陳腐化してしまうリスクがあります。
外注を活用することで、常にアップデートされた内容で研修を提供できるのが強みです。
研修から効果測定まで一貫した対応が可能
外部の研修会社では、事前の課題診断から研修設計・実施・フィードバック、さらには効果測定まで、一貫したプロセスを提供しています。
このように、全体を通じたサポートがあることで、研修の目的や効果がより明確になります。
特に内製では難しい「研修成果の可視化」が可能となり、受講者の変化を定量的に把握できます。
これにより、研修の成果を上司や経営層へ報告する際にも説得力のある資料作成ができ、研修が経営施策としても評価されやすくなります。
人事担当者の業務負担軽減につながる
社員研修を企画から実施まで社内でまかなうには、大量の時間と労力が必要です。
例えば、テーマ選定・講師人選・教材作成・日程調整・受講者管理など、煩雑なタスクが人事部門に集中します。
こうした実務的な業務を外部に委託することで、人事担当者は本来注力すべき採用戦略や制度設計といった中長期的な業務に集中できます。
結果として、部門全体の生産性向上にもつながります。
社員研修を外注するにありがちな落とし穴
社員研修の外注には多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントも存在します。
研修を外部に任せることで発生しがちな落とし穴を理解しておくことは、効果的な運用のために欠かせません。
ここでは、外注時に陥りやすい典型的なリスクを解説します。
- 研修内容が社風に合わない可能性がある
- 研修後のフォローが不十分になることも
- 現場で研修を活かしきれない
研修内容が社風に合わない可能性がある
外部講師が提供する研修プログラムは、多くの場合「汎用的な内容」がベースとなっています。
そのため、自社の理念や文化、業界特性とフィットしない可能性がある点には注意が必要です。
特に中小企業やベンチャー企業のように、独自性の強い組織では、外部プログラムとのギャップが顕在化しやすくなります。
例えば、成果主義を重視する社風に対して、過度に協調性を求める内容の研修が導入されると、受講者に違和感を与えてしまう恐れがあります。
研修後のフォローが不十分になることも
研修の成果は、受講直後ではなく、現場に戻った後に定着し、実践できるかどうかで決まります。
そのため、研修後のフォロー体制は非常に重要です。
しかし、外注研修ではフォローアップが研修会社のサービス範囲に含まれていない場合もあります。
また、人事側で明確な定着支援の仕組みを持っていないと、せっかくの研修が「やりっぱなし」で終わってしまうリスクが高まります。
受講者にとって学びを振り返り、実務に結びつける機会が不足すると、効果が半減してしまいます。
現場で研修を活かしきれない
外注された研修が現場の業務と乖離している場合、その内容が実務で活かされにくくなることがあります。
これは研修設計段階でのすれ違いにより発生しがちです。
例えば、以下のようなケースでは、せっかくの研修も十分に活用されない可能性があります。
- 現場の上司が研修内容を把握しておらず、受講後のフォローが行われない
- 業務フローや評価制度に研修内容が反映されておらず、学びを実践する機会がない
- 受講者に「なぜこの研修が必要なのか」が伝わっておらず、当事者意識が低い
このような事態を防ぐには、事前に研修の目的を明確にし、現場との連携をしっかりと行うことが重要です。
社内関係者を巻き込みながら設計・運営を行うことで、研修の実効性を高めることができます。
研修の外注を失敗しない選び方の5つのポイント
社員研修の外注は効果的な手段ですが、選び方を誤ると「費用ばかりかかって成果が出ない」という結果になりかねません。
ここでは、研修の外注を成功に導くために押さえておきたい5つのポイントを解説します。
- 自社課題にあった研修内容か
- 自社に合わせた研修にカスタマイズが可能か
- 講師やサービスの実績はどうか
- 研修後の効果測定やフォロー体制はどうか
- 受講体制は柔軟に対応可能か
自社課題にあった研修内容か
外注研修を導入する際に最も重要なのは、「自社の育成課題に合ったテーマや内容であるかどうか」です。
ありがちな失敗として、「何となく良さそうだから」「他社も導入しているから」といった理由で汎用的な研修を選び、実務との乖離が大きくなってしまうケースが挙げられます。
こうしたミスマッチを防ぐには、まず自社の課題をしっかりと見極めることが必要です。
例えば、上司や現場メンバーへのヒアリング、成果とのギャップ分析、従業員アンケートなどを通じて、現場の声を収集しましょう。
そして、ベンダーに依頼する際には、対象者の職種やレベル、現在抱えている課題、研修後に期待する行動など、具体的な情報を伝えることが重要です。
自社に合わせた研修にカスタマイズが可能か
外注研修には「パッケージ型」と「カスタマイズ型」がありますが、成果を重視するなら後者を選ぶべきです。
自社に合った内容でプログラムを組んでもらえるカスタマイズ型なら、より実務に即した研修が実現できます。
カスタマイズが可能な外注先は、研修前に丁寧なヒアリングを行い、課題分析からプログラム設計まで一貫して対応する流れを持っています。
提案書に記載された研修設計の根拠や流れを見ることで、対応の柔軟さや提案力を見極めることができます。
講師やサービスの実績はどうか
外注先を選ぶ際に注目すべきなのは、会社の規模ではなく、「講師やプログラムの実績」です。どれだけ多くの企業で導入されてきたか、どの業界に対応してきたか、リピート率や継続率はどのくらいかなど、具体的な数値や事例で確認しましょう。
特にチェックしたいポイントは以下の通りです。
- 講師の経歴(業界経験や登壇実績の有無)
- 自社と類似した業界・規模の企業での導入実績
- 研修の満足度アンケートや再委託率といった数値データ
実績がある研修会社ほど、プログラムの完成度が高く、現場への定着支援も充実しています。
研修後の効果測定やフォロー体制はどうか
外注研修で「やって終わり」にしないためには、効果を可視化し、職場での実践をサポートする体制が必要です。
どのような方法で効果を測定し、どのように定着支援を行っているかを、事前に確認しておきましょう。
研修効果を測る方法としては、以下のような手法がよく用いられます。
- 事前・事後テストによる理解度の確認
- 研修後の行動変容チェック(例 1か月後アンケート)
- 上司からのフィードバックによる実務への活用度の把握
こうした仕組みが整っていることで、研修が確実に成果につながる運用が可能になります。
受講体制は柔軟に対応可能か
企業によっては、全国に拠点があったり、シフト勤務の社員が多かったりと、受講の環境が一様ではありません。
こうした事情に対応できる、柔軟な受講体制が用意されているかも、外注先選びの重要なポイントです。
以下のような形式が選択可能かを確認しておくと安心です。
- オンライン/対面/ハイブリッド形式の選択肢
- 現場職にも配慮したスマートフォン対応のeラーニング
- リアルタイム受講とアーカイブ視聴型の併用
受講形式の選択肢が豊富であれば、受講率が上がるだけでなく、研修効果の最大化にもつながります。
研修を外注する際の費用相場
「社員研修を外注すると、どのくらいの費用がかかるのか?」というのは、研修担当者が最も気になるポイントのひとつです。
実際の費用は研修内容・対象人数・実施形式によって異なりますが、ここでは主な研修タイプと形式ごとに、費用の目安をご紹介します。
以下は、1日あたりまたは1人あたりで想定される研修の費用相場です。(すべて税抜・目安額)
研修の種類 | 形式 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|---|
ビジネスマナー研修(新入社員向け) | 対面/オンライン | 約10万〜20万円/1日(10〜30名) | 基本パッケージの場合は比較的安価 |
コンプライアンス研修 | 対面/オンライン | 約15万〜30万円/1日 | 業種・法令対応内容によって変動 |
DX・ITスキル研修 | 対面/オンライン | 約20万〜50万円/1日 | 専門講師による実践型講座が多い |
管理職向けマネジメント研修 | 対面(少人数) | 約30万〜60万円/1日 | 事前ヒアリング〜カスタマイズ含む |
eラーニング研修 | オンライン(オンデマンド) | 約3,000〜10,000円/1人 | 契約人数に応じた割引あり |
上記はあくまで目安ですが、内容をカスタマイズしたり、効果測定やフォローを含める場合は追加費用が発生することもあります。
研修の目的や対象者のニーズに合わせて、適切なプランを検討することが重要です。
コストを抑えて研修を外注するコツ
研修の外注は、効果的な人材育成手段である一方で、コストが気になるという声も少なくありません。
ここでは、予算を抑えつつ効果的な研修を実現するための工夫や選び方のコツを紹介します。
- 研修内容を盛り込みすぎない
- オンライン型研修を検討する
- 合同の社員研修への参加を検討する
- 必ず複数社から見積もりを取る
- 助成金を活用する
研修内容を盛り込みすぎない
研修を設計する際、「あれも学ばせたい」「これも必要かも」とテーマを詰め込みすぎてしまい、結果的に時間やコストが膨らむケースがよく見られます。
特に1回の研修で複数の要素を無理に詰め込むと、受講者の消化不良を招きやすく、学習効果も低下します。
本当に必要な内容を、研修の目的ベースで絞り込むことが大切です。
例えば、新人向けの研修であれば、「マナー+1テーマ(例 ビジネス文書)」に留めるなど、焦点を明確にすることで効果も高まります。
また、カスタマイズ可能な研修会社であれば、「不要な項目を削除=コストカット」が可能です。
パッケージ型より柔軟に対応できる点も、コスト削減につながります。
オンライン型研修を検討する
研修をオンライン化することで、交通費・会場費・印刷物などの間接的なコストを大幅に削減できます。
特に全国に拠点がある企業や、複数拠点を横断する研修にはオンライン型が効果的です。
オンライン研修には、講師がリアルタイムで配信する「ライブ型」と、録画された講義を自由な時間に視聴する「オンデマンド型」があります。
それぞれの特性を活かして、受講対象や研修目的に応じた形式を選ぶことで、費用対効果を最大化できます。
合同の社員研修への参加を検討する
1社単独で研修を実施するよりも、複数の企業が共同で参加する「合同研修」や「オープンセミナー」を活用することで、1人あたりの受講費用を抑えることが可能です。
特に、少人数しか対象者がいない研修や、ビジネスマナーやExcelといった汎用的な内容の研修には合同型が向いています。
ただし、他社と合同で行う分、受講者のレベル感や社風が合わない可能性もあるため、講師の進行力や参加企業の業界構成なども確認して選ぶとよいでしょう。
必ず複数社から見積もりを取る
研修の外注費用は、企業によって料金体系が大きく異なります。
講師単価だけでなく、カスタマイズ料・資料印刷代・オプション費用などが加算される場合があるため、必ず複数社に見積もりを依頼しましょう。
比較する際は、最低でも3社以上から見積もりを取り、同じテーマ・実施時間・受講人数で条件を統一することが重要です。
また、見積書で確認すべき項目としては、キャンセル料の有無・講師の交通費の扱い・録画や資料の利用制限・オプション料金の有無などがあります。
助成金を活用する
厚生労働省が実施している「人材開発支援助成金」や、自治体による中小企業支援制度を活用することで、研修費用の一部を補助してもらえるケースがあります。
例えば、「人材育成支援コース」や「教育訓練休暇コース」などは、一定の条件を満たすことで、研修費用の30〜60%程度が支給される場合もあります(上限額や対象研修には制限あり)。
また、助成金制度に詳しい研修会社を選べば、申請手続きや報告書の作成支援などを任せることができ、管理工数も抑えられます。
ただし、制度の利用には事前申請や対象要件の確認が必要であり、全ての研修が対象になるとは限らない点には注意が必要です。
社員研修を実施するなら『推す!研修』
オスケン株式会社が提供する『推す!研修』は、企業ごとの課題や目標にあわせて、研修プログラムを柔軟に設計・実施する教育支援サービスです。
汎用的な研修にとどまらず、「どの層に、どのような行動変容を期待するのか」を明確にした上で、設計から実施、効果測定、定着支援まで一貫してサポートします。
例えば、新入社員のマナー研修から、管理職向けのマネジメント研修、DXやコンプライアンスといった専門領域の研修まで幅広く対応可能です。
オンライン/対面/ハイブリッドなど受講形式も選べるため、全国展開企業や現場勤務が多い企業でも導入しやすい体制を整えています。
「一過性で終わらせない」「現場で使える学びにする」そんな研修をお探しであれば、ぜひ一度『推す!研修』をご検討ください。
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