社員研修の導入事例12選を解説!効果的な研修を導入する方法も紹介

企業の人材戦略が多様化する中で、社員研修の重要性はますます高まっています。単なる知識の詰め込みではなく、社員のモチベーションやスキル向上に直結する研修をどう設計し、導入するかが企業の成長を左右します。本記事では、様々な課題や目的に応じて導入された研修事例を紹介しながら、効果的な導入方法についても解説します。
課題や目的別に導入されている社員研修事例
ここでは、社員研修の目的ごとに導入された事例を紹介します。企業が抱える課題に対して、どのような研修が実施され、いかなる成果が得られたのかを見ていきましょう。
離職防止に向けた研修
株式会社島津アクセスでは、若手社員の離職率が12%に上昇したことを受け、2022年より株式会社マイナビと連携して「全方位型研修戦略」を導入しました。若手社員のみならず、メンター、その上司、さらには部長クラスにまで対象を広げた体系的な育成体制を構築。技術者が多く所属する同社の特性にあわせ、理論と実践を組み合わせた研修設計が行われました。
加えて、若手社員側にも学ぶ意義を理解させる段階別研修を実施したことで、育成風土の醸成に成功し、結果として離職率は2%台にまで低下しました。
出典 導入事例:株式会社島津アクセス様 | マイナビ研修サービス↗
DX推進のための研修
株式会社SUBARUでは、急速に変化する自動車業界に対応するため、2022年度からソフトウェア人材育成に本格的に取り組んでいます。特にDX分野では、AI・組込み技術などを活用し、若手からベテランまで段階的な研修プログラムを展開。新入社員には情報処理やプログラミングの基礎から始まり、中堅層には実機を使った実践形式の組込み研修を実施しています。
また、AI研修では、初級から上級までの段階に応じて、Pythonや実データを使った課題解決型学習を導入。これにより社員のスキル定着と応用力向上を促進しています。こうした体系的なDX人材育成が、次世代の開発力と企業競争力の源泉となっています。
ハラスメント防止研修
昭和電工株式会社(現 株式会社レゾナックホールディングス)では、ダイバーシティ推進とイノベーション創出を両立するための一環として、株式会社クオレ・シー・キューブに委託しハラスメント防止研修を実施しました。単なるハラスメント対策にとどまらず、心理的安全性の高い職場づくりを通じて、多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を目指しています。
研修では、ハラスメントを切り口にダイバーシティへの理解を深め、参加者からは「なぜ多様性が必要なのかが腹落ちした」といった声が多く寄せられ、高い満足度を得ました。この取り組みは、CX(顧客体験)の向上にもつながる「ダイバーシティ経営」の重要な土台となっています。
出典 ダイバーシティ推進なくしてイノベーションは生まれない!|導入事例一覧|ハラスメント対策のクオレ・シー・キューブ↗
階層別に導入されている社員研修事例
社員研修は、階層ごとに求められる役割やスキルが異なるため、それぞれの段階に応じた内容で実施することが重要です。中堅社員、管理職、経営幹部といった各階層に向けて、どのような課題に対応し、どのような成長を促す研修が導入されているのかを、実際の企業事例をもとにご紹介します。
中堅社員向け研修
中堅スーパーK社では、若手社員の3年以内離職率が60%を超える深刻な課題に直面し、株式会社採用総研と連携して店長・主任クラスを対象とした研修を導入しました。適性検査と職場アンケートを通じて離職の要因を可視化し、コーチングやマネジメント理論に基づく研修プログラムを実施しました。
研修後には店舗内での挨拶や声かけが活発化し、職場の雰囲気が大きく改善されました。その結果、離職率は10%以下にまで低下し、採用活動にも余裕が生まれるなど、組織全体にポジティブな変化が定着しています。
出典 中堅スーパー/離職率大幅低減を実現した店長研修の成功事例↗
管理職向け研修
東京電設サービス株式会社は、外販事業の拡大に伴い、現場技術者の自律性と自発性を引き出すマネジメントが必要とされる中、リクルートマネジメントソリューションズ社のマネジメント研修「M-BT」を導入しました。
課長や地域センター所長が参加し、マネジメントの原理・原則を学ぶとともに、現場で実践するアクションプランを策定しました。社内での共通言語を構築しながら、成果発表会を通じて組織的な学びへとつなげています。今後は若手研修や組織開発も視野に入れ、持続可能な人材育成体制の構築を進めています。
出典 【導入事例】東京電設サービス株式会社|マネジメント研修↗
経営幹部向けの研修
三菱地所リアルエステートサービス株式会社は、縦割り意識の強さや全社視点の欠如といった課題に対応するため、経営幹部層を対象にグロービス社のエグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)を導入しました。
研修では、他社の経営層と交流する「他流試合」形式を通じて、自社の枠を超えた視座と実践的な経営感覚を養成しました。5年間で25名が受講し、経営戦略会議では共通言語による議論が可能になるなど、組織的な変化が現れ始めています。今後は部長層への拡大も進め、親会社依存から脱し、自ら舵を取る企業文化の醸成を目指しています。
出典 三菱地所リアルエステートサービス株式会社-役員層はエグゼクティブ・スクールへ通学。上位層からの組織変革に本気で取り組む|お客様の事例|グロービス(GLOBIS)の企業研修・人材育成ソリューション↗
業界の特徴に合わせた社員研修事例
業界ごとに求められるスキルや職場環境は異なります。そのため、研修も一律の内容ではなく、それぞれの業界のニーズに即した設計が求められます。以下では、IT業界・製造業・医療・福祉業界における実際の研修事例を紹介します。
IT業界で導入されている研修
NECビジネスインテリジェンス株式会社では、DX人材の育成を目的に、デジタル時代に対応したスキル強化プログラムを導入しています。特に、データ分析やAI技術に関する実践的なトレーニングが重視されており、単なる座学ではなく業務への応用力を育む点が特徴です。社内資格制度やプロジェクト参加型の学習機会も設け、IT企業に求められる自律的な成長を後押ししています。
出典 NECビジネスインテリジェンス:デジタル変革の取り組み↗
製造業で導入されている研修
シンワ測定株式会社は、パナソニックエレクトリックワークス創研株式会社の研修コンサルティングを活用し、現場力とマネジメント力を強化するための研修を実施しています。製造業特有の課題である技術継承や属人化を防ぐため、OJTに加えて体系的な教育体系を構築し、特に管理職層には、現場との橋渡し役としての役割を明確にし、組織全体のパフォーマンス向上を目指しています。
出典 シンワ測定株式会社様 – 事例紹介 – モノづくり支援 – パナソニック エレクトリックワークス創研 – Panasonic↗
医療・福祉業界で導入されている研修
東京慈恵会医科大学では、医学・看護学の教育支援において、eラーニングシステム「Moodle(ムードル)」を導入し、教育体制の強化を進めています。導入当初は研修や授業の補助的役割を想定していましたが、新型コロナの影響によりオンライン活用が加速し、遠隔授業や病院内研修の主軸として活用されています。
教員や職員の習熟に課題はあるものの、マニュアル整備や説明会の実施によって改善が進行中です。現在では、Moodleの活用により、教職員や学生の学びを止めずに支援できる体制が整い、今後も医療現場での教育に不可欠なインフラとして位置づけられています。
出典 【Moodle導入事例・前編】東京慈恵会医科大学様 | eラーニング イノベーションカンパニー 株式会社イオマガジン↗
研修テーマ別に導入されている社員研修
企業が抱える課題や目指す目標に応じて、社員研修のテーマは多岐にわたります。ここでは「ビジネスマナー」「営業力強化」「データ活用」という3つの主要なテーマについて、実際に導入されている研修事例を紹介します。
ビジネスマナー研修
株式会社NTTドコモでは、新入社員や若手社員の社会人基礎力を高めるため、アルー株式会社のビジネスマナー研修を導入しています。挨拶や敬語の使い方、名刺交換など、基本的な所作を身につけることを目的とし、ロールプレイ形式の演習を多く取り入れることで実践力を強化しています。研修後は、受講者から「現場ですぐに使える内容だった」との声も多く、初対面時の印象改善にもつながっています。
出典 株式会社NTTドコモ 新入社員研修 導入事例|企業研修・人材育成ならアルー↗
営業力強化研修
静岡県浜松市の株式会社サカエは、営業力の強化を目的にティ・スクエアの「プロフェッショナル研修」を導入しました。対象となったのは30代の中堅営業マンと営業課長の計12名で、顧客対応のスタイルを受け身から「攻め」に転換。顧客の課題の本質に迫る提案や、経営層へのアプローチを通じて、営業の質が飛躍的に向上しました。その結果、売上は45億円から55億円へと大幅に成長。受講者が学びを社内に還元する好循環も生まれました。
出典 営業力強化・お客様事例 『株式会社サカエ様』 ~ 顧客をリードするプロアクティブな営業マンの育成研修で、売上が45億→55億に! | Tsquare↗
データ活用研修
SOMPOホールディングス株式会社は、全社員6万3,000人を対象にDX人材育成を推進し、ブレインパッドの研修プログラムを導入しています。DX企画人材や活用人材など役割別に育成方針を明確化し、「基礎レベル研修」と「ハイレベル研修」の2段階で実践力を重視した教育を展開。基礎レベルでは、データ活用の重要性や統計知識をeラーニングで学び、ハイレベルではSQLやPythonを活用した演習を通じて、データ分析をリードできる人材を育成しています。
出典 これからの時代、データ活用は“読み・書き・そろばん”! 6万3000人をDX人材に!SOMPOグループが注力するDX研修、その内容は|データ活用人材育成サービス|ブレインパッド↗
効果的な社員研修を導入する方法
社員研修を成功させるには、単に内容を決めて実施するだけでは不十分です。目的の明確化から対象者の理解、運営体制の把握、外部講師の選定、そして実施後の効果測定まで、段階的かつ戦略的な設計が求められます。ここでは、研修導入を検討する企業が押さえておくべき基本ステップを紹介します。
目的とゴールの明確化
社員研修の第一歩は、なぜ研修を行うのか、その目的と期待される成果を明確にすることです。例えば、新人に基本動作を習得させるのか、管理職にマネジメント力を身につけさせるのかで、設計は大きく異なります。成果を測定可能なゴールに落とし込み、全体像を共有することで、受講者の理解や主体的な参加も促進されます。
対象社員のスキルレベルを把握する
受講者のスキルや業務経験に差がある場合、一律の研修では十分な効果を得にくくなります。事前のアンケートやヒアリングを通じて、対象社員の現状把握を行い、研修の内容や難易度を適切に調整することが大切です。これにより、学習意欲を高め、実践への橋渡しがしやすくなります。
自社の体制と研修形式を見る
自社が持つリソースや人員配置、IT環境などに応じて、対面型・オンライン型・eラーニングなど最適な研修形式を選定することが重要です。例えば、地方拠点が多い企業であればオンライン学習との併用が有効です。また、教育担当者が内部にいない場合は、外部講師との連携も視野に入れるべきでしょう。
外注先や講師の選定基準を決める
研修を外部に委託する際には、実績や専門性に加えて、自社の文化や研修目的に合った講師・ベンダーを選ぶ必要があります。過去の導入事例や受講者の評価・カスタマイズ対応力なども参考にして、単なる価格比較にとどまらない選定を行うことが、研修成果の最大化につながります。
研修後の効果測定とフォロー施策の設計
研修の効果を測るには、実施直後のアンケートだけでなく、一定期間経過後の行動変容や業績改善なども視野に入れる必要があります。また、OJTや上司との面談、振り返りの機会など、研修内容を実務で活かすためのフォロー施策を組み込むことで、学習内容の定着と組織的な成長が促進されます。
社員研修の導入は自社課題の把握が重要
研修を導入する際に最も重要なのは、自社が抱える具体的な課題を正しく把握することです。単に流行のテーマを取り入れるだけでは、社員の成長や組織改善にはつながりません。業績低迷、人材の定着率の低さ、管理職の育成不足など、自社の現状に即した課題分析が、効果的な研修設計の第一歩になります。
例えば若手社員の早期離職が問題であれば、現場の指導方法や人間関係に焦点を当てた研修が必要です。あるいは営業成績の伸び悩みが課題であれば、商談スキルやデータ分析力を強化するプログラムが求められます。このように、課題に応じて研修の目的や対象、内容が明確になれば、研修の効果も飛躍的に高まります。
また、課題の特定には、従業員へのアンケート調査やヒアリング、業務データの分析などの客観的な手法を活用することが有効です。感覚や思い込みに頼らず、組織全体の現状を可視化することで、研修に対する納得感と実効性が生まれます。社員研修の導入は、単なる教育ではなく、組織課題の解決策であるという視点を持つことが大切です。
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