新入社員研修の事例16選を解説!事例からわかる成功ポイントも紹介

新入社員研修は、企業が将来の成長を支える人材を育てるために欠かせない取り組みです。最近では、単なるビジネスマナーの習得にとどまらず、組織文化への理解や、現場での実践力を養う内容まで、研修の幅が広がっています。本記事では、実際に企業で行われている新入社員研修の事例を16件ご紹介します。それぞれの事例から見えてくる工夫や特徴を通じて、自社に取り入れる際のヒントをみていきましょう。
実際に導入されている新入社員研修の事例16選
以下の企業では、独自の新入社員研修を導入し、それぞれの目的に応じた育成施策を展開しています。
- サイボウズ株式会社
- パナソニック・システムデザイン株式会社
- Sky株式会社
- 株式会社エイチームホールディングス
- KDDIアジャイル開発センター株式会社
- アルティウスリンク株式会社
- 株式会社エム・ソフト
- 株式会社メルカリ
- Sansan 株式会社
- 小泉製麻株式会社
- 三井情報株式会社
- 株式会社MIXI
- LINEヤフー株式会社
- 日本電気株式会社(NEC)
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社ディー・エヌ・エー
各社の具体的な取り組みを、1社ずつ順に紹介していきます。
サイボウズ株式会社の事例
サイボウズ株式会社の2023年の新入社員研修は、オンラインとオフラインを組み合わせた「ハイブリッド型」で実施されました。研修は4週間にわたり構成され、前半3週間では「個人の自立」をテーマに、基礎知識の習得や部門交流を通じて自己理解を深める内容とし、後半1週間は、実践的なグループワークを通じてチームワークを体験する内容で実施されました。
研修内容は、「信頼」「やるべき×できる」「わくわく」の3カテゴリーで設計されており、セキュリティやビジネスマナー、戦略的思考やオフィス活用の意味など、業務に直結する多面的な学びを提供します。すべての講義は社内の社員が担当し、新入社員との関係性を築きながら自社文化を伝える工夫もされています。
出典 2023年の集合研修はハイブリッド型で開催!「サイボウズ流」を学ぶ4週間を徹底紹介!|サイボウズの舞台裏↗
パナソニック・システムデザイン株式会社の事例
パナソニック・システムデザイン株式会社では、入社後半年間にわたり、全社研修と部門研修の二本立てで新入社員研修を実施しています。全社研修では、ビジネスマナーや仕事の進め方に加えて、プログラミングや設計技法といった技術基礎も習得。さらに、ロボットを使った社内イベント「ETロボコン」を通じて実践力を磨く機会も設けています。
中長期的なキャリア形成を見据え、自身の価値観や目標を明確にするキャリアデザイン講座も特徴のひとつです。配属後の部門研修では、先輩社員がトレーナーとしてサポートし、実務への円滑な移行を支援。締めくくりには、新人発表会で自身の成長や将来像を発表する場が設けられています。
出典 教育・研修制度 – 企業情報 – パナソニック システムデザイン株式会社 – Panasonic↗
Sky株式会社の事例
Sky株式会社の新入社員研修は、「職種別の体系的カリキュラム」が特長です。まず全職種共通の全体研修で、社長の思いや会社の歴史、組織構成などを学び、自社理解を深めます。ビジネスマナーやルールは演習形式で習得し、同期との交流も促進。
また、パンフレット制作を通じたチームワーク研修や、プロのアナウンサーによるスピーチ研修などもあります。発声・話し方・伝え方を一人ずつ丁寧に指導し、対話力を実践的に高めます。その後は職種別研修を経て現場に配属。配属後もOJTや定期フォローアップがあり、組織全体で成長を支える体制が整っています。
出典 研修制度|Sky株式会社 新卒採用 – 好働力!↗
株式会社エイチームホールディングスの事例
株式会社エイチームホールディングスの新入社員研修は、1か月間で会社理解から実践的スキル習得までを一貫して行う、社員主導の独自プログラムが特長です。経営理念や事業の歴史を学ぶ講義には、役員・事業責任者が登壇。ITスキル習得のためのプログラミング研修や、実在する業務を模したコールセンター研修も実施され、当事者意識や自立性を育みます。
集大成としては、全社公開の場で役員に向けたプレゼンを行う「ビジネス予行演習」を実施。新卒が企画・提案を通して会社への理解と責任を深める仕組みが整えられています。
出典 2023年新卒研修レポート!歴史から企業・事業理解を深め、早期戦力化を目指す新入社員研修|エイチーム(Ateam)↗
KDDIアジャイル開発センター株式会社の事例
KDDIアジャイル開発センター株式会社では、約4か月間にわたる新人研修を実施しています。第1期生向けの研修は「技術習得」「マインドセット」「コミュニティ形成」を目的に構成され、特に実践的な内容が特徴です。
ビジネススキル研修では、コミュニケーション力を高める演習を通じて、自立とチーム貢献を両立する力を養成。テクニカルスキル研修では、Webシステムの設計や実装、CI/CDやインフラなど広範な技術をカバーし、現場を意識した内容となっています。先輩社員によるチューター制度や1on1面談、毎日の改善ミーティングを通じて、丁寧なサポート体制も整っています。
出典 KAG新卒第1期生新人研修開催|Takamichi Dobashi↗
アルティウスリンク株式会社の事例
アルティウスリンク株式会社の新入社員研修は、社会人としての基本スキルに加え、多様な業務体験を通してキャリア形成を支援する内容が特徴です。配属前の2か月間で、業界理解・ビジネスマナー・情報セキュリティなどの座学に加え、Z世代らしい価値観を活かしたグループワークや、オフィス・コンタクトセンター見学、先輩社員との対話などを実施。
特に、配属前に自身の希望や適性を見極める機会が多く設けられており、自己理解と職場理解を深める設計が秀逸です。最終日にはミニプレゼン大会もあり、自らの強みを発信する実践の場も用意されています。
出典 キャリアパス・教育 | 基幹職(総合職) | 新卒採用|アルティウスリンク株式会社↗
株式会社エム・ソフトの事例
株式会社エム・ソフトの新入社員研修は、約3か月にわたって基礎から応用まで段階的に実施されます。入社直後は社会人基礎力やビジネスマナーを学び、その後はC言語による本格的なプログラミング演習へ。経験者と未経験者が同じペースで進められるよう入社前教育も設けられています。
さらに、実践型の「プロジェクト演習」や「3分間スピーチ」によって、プレゼン力やチームでの課題解決力も養成。マーケティング演習では、AIをテーマにブレストや企画ワークを実施し、エンジニアに求められるビジネス視点の重要性を体感します。技術力だけでなく、発信力や視野の広さを育む研修が魅力です。
出典 [2024新人研修レポート①]新入社員研修を紹介します!|株式会社エム・ソフト公式↗ [2024新人研修レポート②]企画・マーケティング演習を実施しました!|株式会社エム・ソフト公式↗
株式会社メルカリの事例
株式会社メルカリでは、新卒エンジニア向けに「共通研修」と「技術研修DevDojo」の2本柱で研修を実施しています。共通研修では、フラットな社風の中でも対外対応に必要な基礎力を身につけるため、ビジネスマナー研修に特に注力。名刺交換や敬語の使い方など、社会人の基本を丁寧に学びます。
技術研修DevDojoでは、Tech stackや開発フロー、Engineering Ladderを学び、講義とハンズオンを通じて実践的にスキルを習得。配属後すぐに活躍できるよう、技術とマインドの両面から立ち上がりを支援しています。
出典 メルカリの新卒エンジニアはどう過ごす?2023年新卒研修の全貌を公開! | メルカリエンジニアリング↗
Sansan株式会社の事例
Sansan株式会社では、新卒プロダクトデザイナー向けに「ロードマップ式育成プログラム」を導入。体系的なカリキュラムに基づき、ユーザー理解からUI設計、ビジネス視点まで段階的にスキルを習得できる仕組みです。特に注目すべきは、0〜3の4段階に明確化された成長指標と、月単位での目標設定・振り返りにより、確実なスキルアップを支援している点です。
また、メンターとの週次面談や実務に直結する課題設定、チーム全体からのフィードバックなど、実践を重視した運用体制も整備。個々の成長を促しつつ、多様な視点からの支援を受けられる環境が整っています。
出典 Sansanデザイナーの新卒育成プログラム大公開!Part1〜成長を支える仕組みと運用〜|Sansan Product management & Design↗
小泉製麻株式会社の事例
小泉製麻株式会社では、入社直後から体系的な社内研修が実施されます。初めの3日間では、会社の理念やビジネスマナーを徹底して学び、社会人としての基礎を築きます。
続く研修では、営業・戦略推進・経営企画など各部門の役割を理解し、課題解決型のプレゼンを通じて実践力を養成。加えて、社外研修や個人面談、メンタルヘルス支援も行われ、心理的安全性の確保にも注力しています。段階的に実務に移行できる安心の設計が特長です。
出典 小泉製麻株式会社コラム↗
三井情報株式会社の事例
三井情報では、グループ3社合同で3か月間の新入社員研修を実施。ビジネスマナーやIT基礎に加え、PBL形式による課題解決型の実習を導入しています。LAN構築やクラウド公開などの実技を通して、主体性やチーム力を養成します。
さらに、自ら運営を担う「研修運営プロジェクト」でリーダーシップや情報共有力も強化。成果報告会や部門ヒアリング発表会も行い、実践力と内省を重視した人材育成を進めています。
出典 2023年度新入社員研修スタート|三井情報株式会社(MKI)↗ 2023年度新入社員研修レポート Vol.2|三井情報株式会社(MKI)↗
株式会社MIXIの事例
株式会社MIXIの2024年度新入社員向け技術研修は、CTOのオリエンテーションから始まり、Git、データベース、クラウド、AI、モバイル開発、セキュリティなど多岐にわたる科目で構成されています。
各研修は現場のエンジニアが講師を務め、T型人材の育成を目指して全員が共通カリキュラムを受講。実践的なハンズオン、インシデント対応演習、職種合同のUX研修、情報発信のワークショップなども組み込まれており、専門性と汎用性を兼ね備えた即戦力育成が図られています。
出典 【2024年版】MIXI 新卒向け技術研修の資料・動画を公開しました!↗
LINEヤフー株式会社の事例
LINEヤフー株式会社では、2024年4月に全職種共通の新入社員研修を実施。ビジネスマナーやロジカルシンキングなどの基礎を外部講師から学び、SlackやZoomを活用した実践的なコミュニケーション研修も行われました。
後半の目玉は、チームでBot開発を行うハッカソン形式の「Dev Challenge」。課題解決型の実践を通じて、開発プロセスや協働の大切さを体感しました。若者の政治参加を促す「ひとくち総理大臣AI」など、社会課題に挑むアイデアも誕生。
短期間ながら、成長と連携を促進する密度の濃い研修となり、参加者からは「社会人の基礎を凝縮して学べた」「チームでの達成感があった」との声が寄せられました。
出典 【LINEヤフー新入社員研修2024】成長と挑戦の1ヶ月をレポート |LINEヤフー採用↗
日本電気株式会社(NEC)の事例
NECでは、2024年に新入社員と役員が立場を逆転して実施する「リバースメンタリング研修」を初実施。新入社員がメンターとなり、役員に対してアプリ開発を通じた指導を行いました。これは若手の挑戦意欲を引き出すとともに、経営層のマインドセット変革を目的とした取り組みです。
研修では年齢や立場を越えた対話が生まれ、「壁を感じなかった」「想像以上にインタラクティブ」といった声が挙がり、企業文化の変革に向けた第一歩として注目されました。
出典 挑戦できる会社であるために 「役員が新入社員から学ぶ」研修に見るNECの挑戦
株式会社サイバーエージェントの事例
サイバーエージェントは、2023年度は「応援される新卒になる」「継続的な関係性を築く」をキーワードに、新卒307名を対象とした4日間の研修を実施しました。入社セレモニーでは社員表彰の展示や社長の祝辞により意欲を高め、カルチャー研修ではミッションステートメントを自分の言葉で再定義し、職種横断のチームで価値観を共有しました。最終日にはチームワーク研修として、役員審査によるプレゼン発表も実施され、同期の絆と主体性が醸成されました。
また同社では毎年、新卒エンジニア全員を対象にした技術研修が実施されており、セキュリティ研修やAWSなどのクラウド実習、ハッカソン形式のチーム開発研修などの研修も実施されています。
出典 新卒が届ける、研修のリアル ~307名の同期と過ごす4日間~ | CyberAgent Way サイバーエージェント公式オウンドメディア↗ 2025年度 新卒研修「100分で学ぶ サイバーエージェントのデータベース活用事例とMySQLパフォーマンス調査」 | CyberAgent Developers Blog↗
株式会社ディー・エヌ・エーの事例
DeNAでは、変革を担う人材の育成を目的に、新卒エンジニア向けに約3か月間の実践型研修を実施。課題発見から実装・社内運用までを行うプロダクト開発を通じて、不確実な状況への対応力と巻き込み力を養います。
「QuickMTG」や「dandan」「SAI」など、実際に社員の課題を解決するプロダクトが複数誕生し、多職種との連携や法務・セキュリティ対応も経験。配属後に即戦力として活躍できる人材を育てています。
出典 【新卒エンジニア研修2024】社内に導入された「プロダクト開発」から見るDeNAの人材育成 | フルスイング by DeNA↗
事例から学ぶ7つの新入社員研修設計ポイント
本章では、各社の実例をもとに、新入社員研修を効果的に設計するための7つの観点を紹介します。目的の明確化から実践演習、振り返りまで、各社の取り組みから学びを抽出しました。
何のための研修かを明確化する
「目的なき研修」は定着率が低くなりがちです。三井情報社の「ビジネス×ITのつながり体感」やDeNA社の「当事者意識の醸成」のように、明確なゴールを設定した設計は、成長実感や研修満足度の向上につながっています。
新入社員研修をハイブリッド設計にする
サイボウズ社やKDDIアジャイル開発センター社のように、オンラインと対面を組み合わせることで、物理的距離を超えた連携や、一人ひとりへのフォローも可能になります。特に、同期との関係構築や拠点間の一体感醸成に効果があります。
自ら考える内容を入れ込む
エイチームホールディングス社や、パナソニック・システムデザイン社のキャリア設計ワークのように、自身のキャリアとの関係性に焦点を当てる内容を研修に取り入れることで、受け身ではなく“自走型”の人材を育てる素地がつくられます。
部署を超えた研修プログラム
サイボウズ社やCyberAgent社のように、部署横断型のチーム演習を通じて、配属後の連携や相談のしやすさが生まれます。「組織に頼っていい」という感覚を得る土壌づくりとしても有効です。
実際のプロジェクトで学ぶ
MIXI社のプロダクト開発型研修や、Sky社の業務擬似体験を取り入れたカリキュラムのように、「やってみて分かる」研修設計は、配属後の即戦力化を助けます。特に成果発表会などは、成長を可視化する貴重な機会です。
先輩社員によるサポート体制
KDDIアジャイル開発センター社やNEC社のように、メンター制度や1on1ミーティングを制度化し、相談しやすい関係性をつくることが、定着や安心感に直結します。サポートする側の社員研修も並行実施することで、職場全体の学習文化が育ちます。
必ず振り返りの場を設ける
NEC社の「振り返り会」や、LINEヤフー社の自己評価・他者フィードバックの仕組みなど、学びを整理する時間の有無が、理解定着の成否を分けます。単なる評価の場で終わらせず、今後の行動設計につなげるように工夫されています。
自社に合った新入社員研修を導入する方法
他社の成功事例を参考にしつつも、自社の文化や課題に合った研修を導入することが、真の成果につながります。以下では、自社に最適な新入社員研修を導入するための3つのステップを紹介します。
自社の課題を洗い出す
まずは、自社にとって「なぜ今、新入社員研修が必要なのか」を明確にすることが重要です。離職率の高さ、育成の遅れ、現場での即戦力化の課題などを多角的に洗い出します。経営層・現場社員・人事部門など複数の視点を取り入れ、社員アンケートなどで定量的な把握を行うと、実態がより明確になります。
目的に合ったプログラム形式の選択
集合研修・オンライン研修・OJT・外部委託・内製プログラムなど、形式ごとの特徴を理解し、自社の課題や目的に合わせた最適な手法を選びましょう。たとえば、理念共有が目的であれば「集合型+グループワーク」、ITリテラシー向上が目的であれば「オンラインeラーニング」など、目的別に適した形式を組み合わせることが効果的です。
予算に合わせた研修設計
限られた予算の中でも効果的な研修を実現するためには、工夫が必要です。内製と外注の併用や、集合研修とeラーニングの併用などが一例です。また、厚労省などが提供する人材開発支援助成金の活用も視野に入れましょう。すべての項目に予算を割くのではなく、「配属前教育」など効果が高い部分に集中投資する姿勢も重要です。
新入社員研修なら『推す!研修』
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